禁煙外来について
喫煙習慣は、肺がん、心疾患、脳卒中などの多くの病気の要因となります。国立がんセンターの研究によると、喫煙者は喫煙習慣のない人と比べて、10年間の死亡率が、男性では1.6倍、女性では1.9倍高いことがわかったそうです。一方、喫煙習慣を止めた人は、喫煙習慣のない人と死亡率の差は認められなかったそうです。喫煙がやめられないのは、ニコチン依存が大きな原因となります。禁煙外来では、患者様の状況に応じて、カウンセリング、内服薬、ニコチンパッチ等を組み合わせ、喫煙習慣を止めるサポートをします。
禁煙外来は保険適用になりますか?
保険適用の条件
- ニコチン依存症と診断されていること
- ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること
(35歳未満の場合は、この条件は不要です) - 直ちに禁煙することを希望していること
- 過去1年以内に健康保険で禁煙治療を受けていない
保険適用の期間
禁煙治療は、初回から12週間にわたり、計5回受けることができます。
保険適用の流れ
- 初診時に、ニコチン依存症の診断を受けます。
- 禁煙治療の説明を受け、同意書に記入します。
- 禁煙補助薬の処方を受けます。
- 禁煙カウンセリングを受けます。
タバコをやめるメリット(タバコを吸わなくなってから)
20分後
血圧と脈拍が正常値まで下がり、心臓への負担が軽減されます。
手足の温度が上がり、冷え性改善につながります。
血中の一酸化炭素濃度が下がり、酸素を効率よく体内に取り入れられるようになります。
8時間後
血中の酸素濃度が上がり、息切れや疲労感の軽減につながります。
24時間後
心臓発作の可能性が大幅に低下します。
数日後
味覚や嗅覚が改善し、食事がおいしく感じられるようになり、食欲増進につながります。身体が軽くなり運動がしやすくなります。
2週間から3か月後
心臓や血管など、循環機能が改善し、血行が良くなります。
1か月から9か月後
せきや喘鳴が改善し、呼吸がしやすくなります。
スタミナが戻り、運動がよりしやすくなります。
1年後
肺機能の改善がみられ、呼吸が楽になります。(軽度あるいは中等度の慢性閉塞性肺疾患がある人)
2年から4年後
虚血性心疾患のリスクが喫煙を続けた場合に比べて35%減少します。
脳梗塞のリスクも顕著に低下します。
5年から9年後
肺がんのリスクが喫煙を続けた場合に比べて明らかに低下します。
10年から15年後
さまざまな病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づきます。
出典:イギリスタバコ白書「Smoking Kills」,1998 / IARCハンドブック11巻, 2007
当院の禁煙外来での治療
当院の禁煙外来は、まず診察を行い、患者様の健康状態と喫煙の状況を詳しく確認します。次に「一酸化炭素濃度」の測定を行い、タバコの吸引が体に及ぼしている影響を確認します。そして、個々の状況に合わせた最適な禁煙プランを策定し、補助薬やアドバイスを行いながら、禁煙に向けて支援を行います。
ニコチンパッチやチャンピックス錠等の補助薬を使用する場合があります。
ニコチンパッチ
ニコチンを皮膚から吸収し、禁煙時の離脱症状を緩和させます。慣れてきたら段階的にパッチのサイズを小さくしていき、徐々にニコチン依存を解消します。規則的に貼りかえることで、持続的な効果があり、強い喫煙欲求が和らいでいくといわれています。車の運転の制限はありませんが、貼付部位の皮膚炎による刺激感、かゆみがでる場合があります。必要に応じて軟膏を処方し、継続できるようにサポートいたします。