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睡眠時無呼吸症候群外来

睡眠時無呼吸症候群専門外来とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、空気の通り道が狭まり、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。いびきや、日中の眠気、起床時の頭痛やだるさなどの症状があります。
症状が進行すると、不快な自覚症状が継続し、高血圧症や心筋梗塞、脳卒中などの合併疾患が発生してしまう可能性があります。
当院では、SASの疑いのある患者様を対象に、簡易型睡眠時無呼吸検査や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)等を行なっております。


睡眠時無呼吸症候群になりやすい人とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因は物理的に上気道(鼻腔・副鼻腔・咽頭・喉頭)が塞がれてしまう「閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)」が大半です。

肥満、喫煙、飲酒、睡眠不足などが、SASのリスクを高めるといわれています。

  • 肥満は、首周りの脂肪が気道を狭くします。
  • 喫煙や飲酒は、気道の炎症や筋肉の弛緩を引き起こします。
  • 睡眠不足は、気道の筋肉の緊張を低下させます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、一般的に40歳以上の男性と閉経後の女性に多く見られます。その特徴の一部をご紹介します。

  1. 身体の変化:年齢と共に筋肉が弱くなり、特に喉周りの筋肉が緩むと、睡眠中に喉が閉じて呼吸が止まる可能性が生じます。
  2. 生活習慣の影響:飲酒や喫煙、過度のストレス、不健康な食生活などの生活習慣が影響します。
  3. 病気や健康問題:糖尿病や高血圧などの既存の健康問題も、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高めます。

性別別にみる睡眠時無呼吸症候群になりやすい人

男性の場合

男性は、女性と比較し、太ると上半身やあご、喉周囲に脂肪がつきやすい傾向にあります。これにより上気道が狭まり、無呼吸状態になりやすいです。

女性の場合

女性は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが睡眠周期や呼吸に影響を及ぼします。これらのホルモンは閉経とともに大幅に減少し、それにより睡眠パターンが乱れ、SASの原因になることがあります。 特に、プロゲステロンの減少は呼吸筋の力を弱め、睡眠中の無呼吸を引き起こす可能性があります。 加えて、閉経後体重が増えやすくなる傾向があります。その影響で首周りの脂肪量を増やし、無呼吸を引き起こす可能性があります。


睡眠時無呼吸症候群になりやすい体格・見た目

後退顎または小さな下顎

後退顎(下顎が通常よりも後ろに位置する状態)や小さな下顎は喉の空間を狭く使い、呼吸を困難にする可能性があります。

高い口蓋や狭い喉

口蓋(口の屋根部分)が高く位置している場合や喉が狭い場合、これらが呼吸経路を狭め、呼吸を妨げる可能性があります。

大きな舌または扁桃腺の肥大

睡眠中に喉を塞ぐ可能性があります。


睡眠時無呼吸症候群になりやすい生活習慣

過体重・肥満

肥満はSASの最大の危険因子です。体重が増えると、首の周囲の脂肪も増え、これにより喉の筋肉が狭くなりやすくなります。使用エネルギーが摂取エネルギーを上回るバランスの良い食事と定期的な運動で体重を管理する事が重要です。

アルコールや睡眠薬の過剰な摂取

アルコールや一部の薬は喉の筋肉をリラックスさせてしまいます。これにより睡眠中の無意識の状態で呼吸が妨げられる可能性があります。

喫煙

喫煙はのどの筋肉や肺機能に悪影響を及ぼします。長期的な喫煙は呼吸機能を損ない、SASにかかるリスクを高めます。

適切な睡眠量の不足

定期的な睡眠パターンを確立し、必要な時間の睡眠をとることが重要です。不規則な睡眠時間や睡眠時間の不足は扁桃腺の腫れや免疫機能の低下など、SASにかかる可能性が高まります。


睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠中

  • いびき、呼吸の乱れ:特に断続的で、呼吸停止が続く場合
  • 夜間頻尿、頻繁な目覚め:交感神経刺激によりリラックスできず、尿意を催しやすい

起きているとき

  • 起きた時の頭痛:夜間の低酸素状態が続いている可能性があります
  • 昼間の強い眠気:極端な場合、運転中や食事中に不意に眠ってしまう場合
  • 普段の睡眠時間にもかかわらず疲れた感じが取れない場合
  • 記憶力や集中力の低下、気分の落ち込み、性欲減退など、全般的な活力の低下を感じる場合

当院で対応している睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠尺度評価(Epworth Sleepiness Scale: ESS)

日常生活の中でどれだけ眠気を感じているかを問診しながら検査します。
8つの異なる状況(例えば、読書をしている時、テレビを見ている時、公共の場所で座っている時など)について、眠気を感じた度合いを評価します。また、特定の症状やリスク因子(いびき、疲労感、BMI)についても併せて確認します。
問診により、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるかどうかを評価し、さらなる診断検査が必要かどうかを判断します。

在宅睡眠検査(簡易型睡眠時無呼吸検査)

医師のサポートを受けながら、ご自宅で患者様ご自身が睡眠時の呼吸の状態をモニタリングします。クリップ状の小さな検査装置(パルスオキシメーター)で、血液中の酸素飽和度と心拍数を計測します。また、呼吸流速センサーで、
口や鼻から出入りする空気の量と速度を測定し、呼吸運動センサーで、胸や腹部の呼吸による身体の動きをモニタリングします。これらのデータを一晩にわたって記録し、医師がデータ解析し症状を判断します。

終夜睡眠プログラフィー(PSG)

クリニックの貸し出し用検査キットをご自宅に持ち帰り、一晩検査キットをつけて睡眠の状態や周期、呼吸のパターン、筋肉の活動などをモニタリングします。翌日に検査キットをクリニックに返却し、クリニックで検査結果の分析を行います。
具体的には、これらのセンサーを使用します。電気脳波(EEG)センサー、眼球運動(EOG)センサー、心電図(ECG)、パルスオキシメーター、呼吸センサー、筋電図(EMG)センサー、体位センサー等です。睡眠パターンを全面的に理解し、睡眠中の呼吸異常の録音と分析を行います。睡眠時無呼吸症候群(SAS)だけでなく、他の睡眠障害(睡眠時運動障害やレム睡眠行動障害など)も診断できます。


睡眠時無呼吸症候群の治療

生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群(SAS)(SAS)には生活習慣が大きく影響します。
肥満症は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主なリスク因子の1つと広く認識されています。体重を減らすことは無呼吸状態の発生頻度を減らし、睡眠の質を向上させるという研究結果が報告されています。アルコールについては、適度なアルコール摂取や、特に就寝前のアルコール摂取を避ける行動も発生頻度を減らします。

CPAP(連続陽圧呼吸療法)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の一般的な治療法で、特に中等度から重度の場合に用いられます。原理としては、マシンからフェイスマスクや鼻マスクを通じて一定の空気圧を供給し、寝ている間に気道が塞がるのを防ぎます。患者様は睡眠時にマスクをつけて就寝していただきます。CPAP機器は小型化が進み、騒音も大幅に低減されていますので、睡眠を妨げづらくなってきております。
改善が見られるようになるまで継続的な治療を行います。

口腔内装置

主に中等度までの症状の場合や、CPAP(連続陽圧呼吸療法)が合わない場合に適用される場合があります。この装置は、歯科医によってオーダーメイドで作られます。口腔内装置は、下顎を前方に動かすことで舌や軟口蓋を引っ張り、これが気道を開放し、無呼吸やいびきを減らす効果が期待されます。また、一部の装置は舌を前方に引っ張る機能もあります。装着と取り外しは容易で扱いやすいことも利点です。

手術

他の治療法で効果がない場合、または特定の病態によって手術を行う場合があります。手術の対象となる部位は主に鼻やのどの周りで、それぞれの手術は気道を確保し、無呼吸状態の発生を減らすことを目指します。

  • 鼻中隔矯正術:鼻中隔が曲がっていて空気の流れを妨げる場合
  • 扁桃腺切除術:大きな扁桃腺が気道を塞いでいる場合
  • 軟口蓋手術:軟口蓋や歯茎(喉頭の周りの組織)を切除または縮小することで気道を広げます。
  • 下顎前方移動術:下顎を前方に移動させて舌の位置を調整し、気道を確保します。

手術による治療法は最終的な選択肢であり、まずは上述の身体に負担を与えにくい治療法を試行し、それらが効果的でない場合に検討されます。


睡眠時無呼吸症候群は放置するとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると、健康に多くの悪影響を及ぼす可能性があります。無呼吸状態が繰り返されることで、睡眠が度々中断し、十分な休息を得られないため昼間の疲労や集中力の低下を引き起こすことがあります。
また、無呼吸状態で酸素供給が停止するため、長期的には高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病といった重大な健康問題を引き起こすリスクが高まります。さらに、SASは徐々に悪化する傾向があり、症状が軽度であっても早期の治療が推奨されています。放置すると、生活の質が低下し、重大な健康問題を招く可能性があるため、早期診断と適切な治療が肝要です。


睡眠時無呼吸症候群の人におすすめの寝方

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状を軽減するためには、寝方を変えると緩和できる場合があります。まず、仰向けに寝るのを避けることが重要です。仰向けに寝ると重力の影響で舌が後ろに落ち込みやすくなり、喉の通り道を塞いでしまうことがあります。そのため、横向きに寝るのが有効とされています。また、枕を高くすることや、特殊な枕を使うことで頭部を引き上げ、喉の開口部を開放しやすくすることも有効な可能性があります。


CPAPを利用した睡眠時無呼吸症候群の治療はいくらかかる?

CPAP による治療は、機器をレンタルすることで自宅でも行うことができ、月に一度診察のために通院するだけで済みます。これには、健康保険が適用され、患者の負担は軽減されています。自己負担額は、3割負担の場合、月々5,000 円程度です。


睡眠時無呼吸症候群は何科を受診すればいい?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断や治療は、内科で行われます。内科では睡眠時無呼吸症候群(SAS)(SAS)の専門外来を設置しており、先生は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断に必要な睡眠時多相睡眠検査(PSG)やCPAP療法の指導などを行っています。専門外来では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断や治療だけでなく、睡眠障害全般の診療を行っています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、早期発見・早期治療が大切です。いびきや日中の眠気などの気になる症状がある場合は、早めに受診を検討されることをお勧めします。


睡眠時無呼吸症候群と居眠り運転について

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者様は、十分な睡眠がとれず、日中の強い眠気に襲われやすくなります。この眠気によって、居眠り運転を引き起こすリスクが高まります。
国土交通省自動車局のレポートでは、2001年のアメリカで実施された調査によると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者様は、居眠り運転による交通事故を起こす確率が、健康な人の7倍高いという結果が出ているそうです。
日中に過度な眠気を感じる人は、SASの可能性を疑い、専門的な診断を受けることを検討することをおすすめします。