生活習慣病とは
生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与していると考えられている疾患の総称です。
日本では、かつて加齢によって発病すると考えられたために成人病と呼ばれましたが、1980年代から若者の発症が目立つようになり、その後の調査で生活習慣が深く関与していることが判明してきました。
生活習慣病の代表的なものは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、がん、動脈硬化、虚血性心疾患、脳血管疾患、などです。
これらの疾患は、発症すると、心筋梗塞、脳卒中、慢性腎不全、足壊死、がんなどの重篤な病気を引き起こす可能性があります。
生活習慣病の予防としては、生活習慣を整え、改善することが大切です。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、節酒などです。
これらの生活習慣を身につけることで、生活習慣病の発症を予防することができます。
生活習慣病の治療には、早期発見・早期治療が大切です。高血圧や脂質異常症、糖尿病などの場合は、薬物治療が必要になる場合もあります。
高血圧とは
高血圧は血圧が常に高い状態を指し、成人の血圧が140/90mmHg以上である場合に診断されます。
血圧が高いと心臓や血管に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中といった重大な疾患のリスクが上がります。 高血圧自体は自覚症状がほぼない「無症候性」の状態で進行することが多いですが、慢性的な頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が出る場合もあります。
原因は遺伝的要因、食生活、ストレス、肥満、運動不足などが複雑に絡み合っています。
当院では、高血圧の確定診断のために血圧測定はもちろん、身体検査、血液検査、尿検査などを通じて詳しい検査を実施します。治療には生活習慣の改善指導や薬物療法が含まれ、患者様一人ひとりに合わせた治療計画を立てていきます。 また、食塩の摂取量を減らす、規則正しい運動をする、適正体重を維持するなど、日常生活でできる予防策も大切です。
高血圧の原因
生活習慣や遺伝的要素など複数の要因が絡み合っています。日本では成人の約3人に1人が高血圧と言われており、多くの方に関係する健康問題です。
塩分の過剰摂取
塩分の多い食生活は血圧を上昇させます。日本人は伝統的に塩分を多く摂取する傾向があり、これが血圧上昇に影響を与える原因の一つと考えられています。
カリウムの不足
野菜や果物など、カリウムを豊富に含む食材を摂取不足にも気をつけたいポイントです。カリウムには血圧を下げる効果があります。
運動不足
運動不足も高血圧の原因となります。定期的な運動は心臓を強くし、動脈の健康を維持するために重要です。逆に不足すると血圧が上がりやすくなります。
肥満
肥満もリスク要因です。体重が増加すると、心臓に負荷がかかり血圧が高くなる傾向にあります。特に内臓脂肪が多い方は注意が必要です。
ストレス
ストレスも無視できません。緊張やストレスは自律神経のバランスを崩し、血圧上昇につながることがあります。リラックスする時間を持ち、心の健康も重視することが大切です。
その他の生活習慣
睡眠不足やお酒の飲みすぎ、タバコなども血圧に影響します。質の良い睡眠を取る、アルコール摂取量を抑える、喫煙をやめるなどが推奨されます。
高血圧の症状
高血圧は、"サイレントキラー"とも呼ばれ、症状を自覚しづらいことからこの名がつけられました。高血圧自体の症状は特にない場合が多いのですが、血圧が非常に高い、または長期間にわたって高い状態が続くと、いくつかの兆候が現れることがあります。
具体的な症状としては、頭痛、特に朝に感じることが多い後頭部の鈍痛、めまい、鼻血、息切れ、または目の前がちらついたり、ぼやけたりする視覚障害があげられます。さらに、胸の不快感や動悸、耳鳴り、疲労感なども高血圧に関連している可能性があります。 これらの症状は他の疾患でも見られることがあるため、高血圧であるかどうかを自己診断するのは難しいです。
そのため、定期的な健康診断や家庭での血圧測定が重要とされています。 高血圧が長期にわたって続くと、心臓病や脳卒中、腎臓病などの重大な合併症のリスクが高まります。これらの合併症によって初めて高血圧の存在に気づくこともあるのです。高血圧は進行性の疾患で、放置することで健康状態は徐々に悪化します。
高血圧の診断
高血圧の診断は、血圧を測定することで行います。血圧は、診察室で測定した「診察室血圧」と、自宅で測定した「家庭血圧」の両方を測定して判断します。
診察室血圧
診察室血圧は、医療機関で測定する血圧です。診察室血圧が140/90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
ただし、診察室血圧は、緊張や不安などによって一時的に上昇することがあります。そのため、診察室血圧が140/90mmHg以上であっても、家庭血圧が正常であれば、高血圧とは診断されない場合があります。
家庭血圧
家庭血圧は、自分で自宅にて測定する血圧です。家庭血圧は、診察室血圧よりも正確な血圧値を測定できると言われています。
家庭血圧が135/85mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
二次性高血圧の診断
二次性高血圧とは、他の病気や薬の副作用などが原因で起こる高血圧です。二次性高血圧の診断には、以下の検査が行われます。
- 腎機能検査
- 甲状腺機能検査
- 副腎機能検査
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査
- 降圧薬の副作用の有無の確認
これらの結果を踏まえ、医師が必要とした場合、検査を行います。
高血圧の検査
高血圧の診断が確定したら、原因を究明するための検査を行います。
たとえば、血液検査では、腎機能のマーカーであるクレアチニンや尿素窒素、電解質のバランスを調べることで、腎臓の健康状態を確認します。また、尿検査では、蛋白尿や血尿など高血圧による腎障害の指標を探ります。 心臓への負担を評価するためには、心電図(ECG)や心臓超音波(エコー)などの検査も行われます。これらは心臓の構造や機能の異常を検出し、高血圧による心臓病のリスク評価に役立ちます。
これらの検査を通して、高血圧が原因で他の身体の器官に損傷を与えていないか、また高血圧の原因となる病気が隠れていないかを慎重にチェックします。
高血圧の治療
高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物治療の2つが基本となります。
生活習慣の改善
高血圧の治療の基本は、生活習慣の改善です。生活習慣の改善で血圧が下がれば、薬物治療の必要性を減らすことができます。
生活習慣の改善のポイントは、以下のとおりです。
減塩
塩分の摂りすぎは、血圧を上げる原因となります。1日の塩分摂取量は、6g未満に抑えましょう。
適度な運動
適度な運動は、血圧を下げる効果があります。1日30分程度のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を、週に3~5回行うようにしましょう。
バランスの良い食事
バランスの良い食事は、血圧を下げる効果があります。野菜や果物を積極的に摂り、脂質や塩分の摂りすぎに注意しましょう。
禁煙
タバコは、血圧を上げる原因となります。禁煙しましょう。
節酒
アルコールの過剰摂取は、血圧を上げる原因となります。飲酒量は、1日あたりの純アルコール量で20g程度に抑えましょう。
薬物治療
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合は、薬物治療が必要になる場合があります。
薬物治療には、以下の種類があります。
カルシウム拮抗薬
血管の収縮に必要なカルシウムの作用を抑え、血管を拡張させます。
ARB・ACE阻害薬
アンジオテンシンⅡ(血管の収縮に必要なホルモン)の産生を抑え、血管を拡張させます。
ミネラルコルチマイド受容体拮抗薬(M R B)は、アルドステロン(塩分を体内に保持する役割のあるホルモン)の働きを抑える作用があります。これにより血圧が下げる効果があります。
利尿薬
利尿薬は、体内の余分な水分やナトリウムを排出することで、血圧を下げる効果があります。
β遮断薬
β遮断薬は、心臓の働きを抑制することで、血圧を下げる効果があります。
高血圧の治療では、1種類の薬で効果が不十分な場合は、複数の薬を組み合わせて治療を行う場合があります。
高血圧の治療の目標
高血圧の治療の目標は、血圧を正常に保つことです。
高血圧の患者様の血圧の目標値は、以下のとおりです。
- 診察室血圧:130/80mmHg未満
- 家庭血圧:125/75mmHg未満
血圧のコントロールが不十分な場合は、動脈硬化や心臓病、脳卒中などの病気のリスクが高まります。そのため、定期的に血圧を測定して、血圧のコントロール状態を確認することが大切です。
高血圧の予防
塩分の摂取量に注意する
塩分の過剰摂取は、体内の水分を保持し、結果として血圧が上昇する原因となります。
日本人の食生活では、ついつい塩分を多く摂ってしまいがちです。
例えば、味噌汁やピクルス、漬け物などの伝統的な食品にも塩分は多く含まれています。また、加工食品や外食では、味を強くするために塩分が多く使われていることが多いのです。
塩分の摂取を減らすためには、まずは自炊を増やし、食材の選択から調理方法、食事の味付けに至るまで、塩分摂取量を意識することが大切です。
味付けでは、醤油や味噌を控えめに使う、塩を少なめにする、または塩代わりにハーブやスパイスを用いるなどの工夫があります。
さらに、食品のラベルを読んで、1食あたりの塩分量をチェックする習慣を身につけましょう。
意識して低塩分の商品を選ぶようにすると、知らず知らずのうちに取り入れている塩分を減らすことができます。
外食時には、メニュー選びに気を付け、塩分が高いと思われる料理は避けるか、少量にします。塩分を控えることは一見難しいかもしれませんが、少しずつ減らしていくことで味覚も自然と変わり、高血圧の予防に大きく寄与します。
カリウムの摂取不足に注意する
カリウムは、体内でナトリウム(塩分)の排出を助け、血圧を健康的な状態に保つ役割を持っています。つまりカリウムを適切に摂取することで、高血圧の予防に繋がるのです。
カリウムは野菜や果物に多く含まれており、特にバナナ、オレンジ、トマト、じゃがいも、ほうれん草などは、カリウムを豊富に含む食品として知られています。また、豆類やナッツ類、魚介類にもカリウムは多く含まれています。
たとえば、朝食にバナナを1本食べたり、サラダにトマトを加えたりしてみてください。また、おやつにオレンジを食べたり、納豆や豆類を使った料理を取り入れたりするのも良いですね。
ただし、カリウムの摂取量は、個人の健康状態や年齢、生活スタイルなどに応じて異なります。腎臓に問題を抱えている場合などは、カリウムの摂取に制限が必要になることがありますので、自分に適した摂取量を、医師や専門家と相談することが重要です。 普段の食事づくりに少しだけ意識を向けることで、カリウムを効果的に摂取し、健康を守る手助けができるのです。
適度な運動
適度な運動は、高血圧の予防にとても重要です。
運動には、血圧を下げる効果があります。運動によって、血管が拡張し、血液の流れが良くなるためです。また、運動によって、体重が減ると、血圧が下がる効果が期待できます。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2020」では、18歳以上の人は、週に150分以上の中強度または75分以上の強度の有酸素運動を行うことが推奨されています。
適度な運動とは、息が切れる程度の運動を、30分以上続けることです。具体的には、以下のような運動が挙げられます。
- ジョギング
- ウォーキング
- 水泳
- サイクリング
- ダンス
- エアロビクス
運動を始めるときは、無理をしないことが大切です。いきなり激しい運動をすると、体に負担がかかり、かえって血圧が上昇することがあります。
まずは、軽い運動から始め、徐々に運動量を増やしていくようにしましょう。また、運動中や運動後は、こまめに水分補給をしましょう。
肥満
肥満に気を付けることは、高血圧の予防にとても重要です。
肥満になると、血液中の脂質や血糖値が高くなるため、血圧が上昇しやすくなります。また、肥満になると、心臓への負担が大きくなるため、高血圧のリスクが高まります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、BMIが25以上を肥満と定義しています。(BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったもので、肥満度を示す指標です。)
肥満を防ぐには、食事と運動の改善が大切です。
食事では、摂取カロリーを控えて、バランスの良い食事を心がけましょう。また、運動を習慣づけることで、体重を減らすことができます。
緊張やストレス
緊張やストレスに気を付けることは、高血圧の予防にとても重要です。
緊張やストレスは、血圧を上げる原因となる
緊張やストレスは、交感神経を刺激し、血管を収縮させます。そのため、血圧が上昇しやすくなります。
また、ストレスは、自律神経のバランスを崩し、食欲や睡眠の乱れを引き起こすこともあります。食欲や睡眠の乱れは、肥満や生活習慣病の原因となるため、高血圧のリスクを高めます。
緊張やストレスを解消するための、具体的な方法をご紹介します。
- 睡眠を十分に取る
- 適度な運動をする
- 趣味や好きなことに取り組む
- 深呼吸やヨガなどのリラックス法を行う
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
飲酒を適度にする
飲酒は、血管を拡張させるアルコールの作用によって、血圧が一時的に下がることがあります。しかし、飲酒が終わると、血管が収縮し、血圧が上昇します。
また、飲酒は、肝臓でナトリウムの排泄を抑える働きがあるため、血液中のナトリウム濃度が高くなり、血圧が上昇する原因となります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2020」では、男性は1日あたりの純アルコール量で20g未満、女性は10g未満を、節酒の目安としています。
純アルコール量とは、飲酒したアルコールの量から、アルコール以外の成分の量を差し引いたものです。
ビール中瓶1本(500ml)で約25g、日本酒1合(180ml)で約18g、焼酎1杯(20ml)で約10gのアルコールを含んでいます。
飲酒を控えるには、以下のことに気をつけましょう。
- 休肝日をつくる
- 飲酒の量を減らす
- 飲酒の回数を減らす
- アルコール度数の高い飲み物は控える
高血圧の予防のためにも、日頃から適度な飲酒を心がけましょう。
糖尿病とは
糖尿病は、血糖(ブドウ糖)の値が正常よりも高い状態が続く病気です。私たちの身体は、食事から得た糖をエネルギーとして使いますが、糖が細胞に入る際にはインスリンというホルモンが必要です。
糖尿病の方は、インスリンの働きが十分でないため、血液中に糖が残ってしまいます。これが長く続くと、心臓病や腎臓病、目の病気などの合併症を引き起こすリスクが高まります。
糖尿病には様々な原因があり、主に遺伝的要因や生活習慣が関与しています。よくみられる症状には、のどの渇き、多尿、体重の減少などがあります。
種類としては、主に1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病があり、それぞれ原因や特徴が異なります。診断は血液検査によって行われ、治療には食事療法、運動療法、薬物療法などがあります。また、定期的な検査により、状態を把握し適切な治療を受けることが重要です。
糖尿病の原因
糖尿病の原因は、大きく分けて2つあります。
1つは、インスリン分泌の不足です。これは、すい臓のβ細胞という部位でインスリンが作られなくなることで起こります。1型糖尿病は、この原因で起こる糖尿病です。1型糖尿病は、遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
もう1つは、インスリン抵抗性です。これは、細胞がインスリンの働きに反応しなくなることで起こります。2型糖尿病は、この原因で起こる糖尿病です。2型糖尿病は、遺伝的要因と生活習慣(食生活、運動不足、肥満など)が複雑に絡み合って起こると考えられています。
2型糖尿病の原因となる生活習慣としては、以下のようなものが挙げられます。
- 過食・肥満
- 運動不足
- 高脂肪食
- ストレス
- 喫煙
これらは、インスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症リスクを高めると考えられています。
糖尿病の症状
糖尿病の症状は、大きく分けて2つあります。
1つは、高血糖に伴う症状です。高血糖になると、尿中にブドウ糖が排泄されるため、のどが渇き、多量の尿が出ます。また、血液中の糖分が細胞内に取り込まれにくくなるため、倦怠感や疲労感を感じるようになります。
もう1つは、糖尿病の合併症に伴う症状です。糖尿病は、放置するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。代表的な合併症としては、以下のようなものが挙げられます。
- 目の病気(糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫など)
- 腎臓の病気(糖尿病性腎症)
- 神経の病気(糖尿病性神経障害)
- 心臓病
- 脳卒中
糖尿病の初期症状は、ほとんど自覚症状がありません。そのため、気がついたら血糖値が高い状態になっていることが少なくありません。
ただし、以下の症状が現れる場合もあります。
- のどが渇く
- 多量の尿が出る
- 倦怠感や疲労感
- 頻尿
- 視力障害
- 体重の減少
これらの症状が現れた場合は、糖尿病の可能性も考えられますので、早めに医療機関を受診しましょう。
糖尿病の種類
糖尿病にはいくつかの異なるタイプがあり、それぞれで原因、症状、治療法が異なります。主に知られているのは1型糖尿病と2型糖尿病ですが、妊娠糖尿病やその他の特殊なタイプも存在します。
「1型糖尿病」は、自己免疫反応が原因で、体がインスリンを生産する膵臓の細胞を間違って攻撃してしまう病気です。これにより、インスリンの産生が停止または著しく減少し、生涯にわたりインスリン注射が必要になります。主に子供や若年者に発症することが多いですが、大人でも発症することはあります。
「2型糖尿病」の場合、体がインスリンに対して適切に反応しなくなるインスリン抵抗性、または膵臓が十分なインスリンを生産できなくなるという状態が起きます。これはしばしば肥満や運動不足、不健康な食生活と関連があり、中年期以降の成人に最も一般的に見られますが、若年層においても増加傾向にあります。
妊娠糖尿病は、妊娠中に一時的に起きるタイプで、妊娠によるホルモンの変化がインスリンの作用を阻害するために発症します。出産後には多くの場合症状が消えますが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くなることも知られています。
この他に特殊なタイプとしては、遺伝性糖尿病や膵臓の他の病気によって引き起こされる二次性糖尿病などがあります。これらは他の代謝的な問題や薬剤の影響で血糖値が異常になる場合で、それぞれ特定の治療が必要になります。
糖尿病の診断・検査
糖尿病の可能性がある患者様は、通常、空腹時血糖テストを受けます。これは、最後の食事から8時間以上経過した状態で測定する血糖値(グルコース)です。通常、空腹時血糖値(グルコース)が126mg/dL以上であると、糖尿病の可能性が考えられます。
次に行われるのが、HbA1cテストです。これは、過去2~3ヶ月の平均血糖値を反映する検査で、6.5%以上が糖尿病の診断基準とされています。
また、口腔糖負荷試験(OGTT)もよく用いられます。これは、糖分を含む特定の量の液体を飲んだ後、一定時間ごとに血糖値を測定するテストで、2時間値が200mg/dL以上であれば糖尿病と診断されます。 ランダム血糖検査も時に利用され、これは食事のタイミングに関わらず行われる血糖測定です。ここで200mg/dL以上を記録すると、糖尿病を疑いますが、通常は他のテストで裏付けを得ます。
血液検査の他に尿検査を行うこともあります。
尿検査では、尿蛋白や尿糖の有無を調べます。尿蛋白や尿糖が検出された場合は、糖尿病の合併症である腎臓病や網膜症の可能性を疑います。
これらの検査結果があいまいな場合や、実際の状態と異なる可能性がある場合(例えば妊娠中の女性など)、医師は追加の検査を行うことがあります。 診断を受ける際は、これまでの生活習慣や家族歴などを医師に正確に伝えることが大切です。
糖尿病の治療
糖尿病の治療は原因によって異なります。
「1型糖尿病」の治療
1型糖尿病の治療は、インスリン注射が基本です。インスリンは、血糖値を下げる効果があるホルモンで、1型糖尿病の患者様は、インスリンの分泌がほとんどないため、毎日インスリン注射をする必要があります。
インスリン注射は、皮下注射で行うのが一般的です。インスリンの種類や量は、患者様の体調や血糖値によって調整されます。
「2型糖尿病」の治療
2型糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法などがあります。
食事療法
食事療法は、2型糖尿病の治療の基本です。食事療法では、以下のことに気をつけます。
- 適正体重を維持する
- 糖質の摂取量を減らす
- 食物繊維を多く摂取する
- バランスのよい食事を心がける
運動療法
運動療法も、2型糖尿病の治療に効果的です。運動療法では、以下のことに気をつけます。
- 1日30分以上、週に3〜5日の有酸素運動を行う
- ウォーキング、ジョギング、水泳などが適しています
薬物療法
食事療法と運動療法で血糖値をコントロールできない場合は、薬物療法が必要になる場合があります。薬物療法には、以下のようなものがあります。
- インスリン抵抗性を改善する薬
- インスリンの分泌を促す薬
- 血糖を下げる薬
糖尿病の治療の目標は、血糖値を正常値に近づけ、合併症を予防することです。
血糖値の正常値は、空腹時血糖値が70〜110mg/dL、随時血糖値が140mg/dL未満です。
糖尿病の予防
食生活の改善
糖尿病の予防には、食生活の改善が重要です。食生活の改善によって、血糖値を正常に保ち、糖尿病の発症リスクを減らすことができます。
糖尿病の予防に役立つ食生活の改善のポイント
糖質の摂取量を控える
糖質は、血糖値を上げやすい栄養素です。糖質の摂取量を控えることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
糖質の摂取量の目安は、1日あたりの総エネルギーの50〜60%程度です。具体的には、ご飯を1食あたり茶碗1杯程度に抑える、間食は果物や野菜などの糖質の少ないものにする、などといった工夫をしましょう。
食物繊維を多く摂る
食物繊維は、糖質の吸収を抑える働きがあります。食物繊維を多く摂ることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
食物繊維の豊富な食品としては、野菜、きのこ、海藻、豆類、全粒粉などがあります。
たんぱく質を十分に摂る
たんぱく質は、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す働きがあります。たんぱく質を十分に摂ることで、血糖値を正常に保ちやすくなります。
たんぱく質の豊富な食品としては、肉、魚、卵、大豆製品などがあります。
脂質の摂取量を控えめにする
脂質は、血糖値を上げにくい栄養素ですが、摂りすぎると肥満の原因になります。肥満は、糖尿病のリスクを高めるため、脂質の摂取量は控えめにしましょう。
脂質の摂取量の目安は、1日あたりの総エネルギーの20〜30%程度です。
定期的な運動
定期的な運動は、糖尿病の発症リスクを減らすためにとても効果的です。
運動には、以下のような糖尿病の予防に役立つ効果があります。
インスリン抵抗性を改善する
インスリン抵抗性とは、インスリンの働きが悪くなることで、血糖値を正常に下げにくくなる状態です。運動は、インスリン抵抗性を改善する効果があります。
血糖値を下げる
運動は、血糖を消費する効果があります。運動することで、血糖値を下げることができます。
体重を減らす
肥満は、糖尿病のリスクを高めるため、適正体重を維持することが大切です。運動は、体重を減らす効果があります。
定期的な運動として、有酸素運動がおすすめです。有酸素運動とは、息が上がるような運動のことで、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが当てはまります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針」では、成人の場合、1日30分以上、週に3〜5日の有酸素運動を推奨しています。
運動の強度は、息が上がるような程度が目安です。無理のない範囲で、継続して行うことが大切です。
体重の管理
肥満は、糖尿病のリスクを高める最も重要な原因の一つです。肥満になると、インスリンの働きが悪くなるため、血糖値を正常に下げにくくなります。
糖尿病の予防には、適正体重を維持することが大切です。適正体重とは、BMI(体格指数)が22程度の状態です。BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で、体重の多さの指標として用いられています。
BMIが25以上になると肥満と見なされ、糖尿病の発症リスクが高まります。
体重を減らすには、以下のことに気をつけましょう。
摂取カロリーを減らす
体重を減らすためには、摂取カロリーを減らす必要があります。食事の量を減らす、ヘルシーな食事を心がける、間食を控えるなど、工夫しましょう。
運動をする
運動は、体重を減らす効果があります。1日30分以上、週に3〜5日の有酸素運動を心がけましょう。
定期的な健康診断を受ける
定期的な健康診断を受けることは、糖尿病の発症を早期発見・早期治療するためにとても重要です。
定期的な健康診断では、以下の項目の検査が行われます。
- 血液検査:血糖値やHbA1cなどの検査が行われます。血糖値やHbA1cは、糖尿病の指標となる値です。
- 尿検査:尿蛋白や尿糖などの検査が行われます。尿蛋白や尿糖は、糖尿病の合併症である腎臓病の指標となる値です。
- 身体検査:体重や血圧などの検査が行われます。体重や血圧は、糖尿病のリスクを評価する際に重要な指標です。
これらの検査を受けることで、糖尿病の早期発見・早期治療が可能になります。
喫煙を止める
喫煙は、糖尿病のリスクを高める原因の一つです。喫煙によって、以下のことが起こります。
インスリン抵抗性が高まる
インスリン抵抗性とは、インスリンの働きが悪くなることで、血糖値を正常に下げにくくなる状態です。喫煙によって、インスリン抵抗性が高まるため、血糖値が上昇しやすくなります。
炎症が起こる
喫煙によって、体内で炎症が起こります。炎症は、糖尿病の発症につながると考えられています。
血管が傷つく
喫煙によって、血管が傷つきます。血管が傷つくと、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなります。
喫煙をやめることで、糖尿病のリスクを減らすことができます。喫煙をやめた人は、喫煙を続けている人に比べて、糖尿病の発症リスクが低いことが研究で示されています。米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでは、喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病のリスクが約2倍高いとしています。
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の脂肪成分が正常な範囲を超える状態を指します。「血中脂質」とは主にコレステロールとトリグリセライドの2種類があり、これらのバランスが崩れると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
脂質異常症の種類は、以下の3つに分けられます。
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い状態
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態
- 中性脂肪が高い状態
脂質異常症は、動脈硬化を促進する原因となります。動脈硬化は、血管が硬く脆くなる病気で、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。
一般的に脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、早期発見と適切な治療・管理により、重大な疾患を予防していきます。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因には、遺伝的要因と生活習慣の二つが大きく関わっています。
遺伝的要因とは、ご家族に脂質異常症の方がいる場合、遺伝によって脂質異常症になりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。
一方、生活習慣に関わる原因としては、不規則な食生活、過度なアルコール摂取、運動不足、喫煙などが挙げられます。
特に、食生活はコレステロールやトリグリセライド値に直接影響を与えます。動物性脂肪の多い食事、ファストフードや揚げ物などの高脂肪食品の過剰な摂取は血中脂質の上昇を招きます。また、炭水化物の摂りすぎも体内でトリグリセライドに変わるため、注意が必要です。
運動不足は、消費されずに体内に蓄積されるエネルギーが脂質として蓄えられ、血中脂質値を上昇させる原因になります。
そして、アルコールの過剰摂取は肝臓での脂質代謝を乱し、血中脂質値を高めます。
ストレスもまた、ホルモンバランスの乱れを招き、脂質代謝に影響を与えるため、脂質異常症のリスク因子となり得ます。
喫煙も血管に悪影響を及ぼし、脂質異常症のリスクを高めます。
脂質異常症の症状
脂質異常症には、ほとんど症状がありません。そのため、自覚症状がなければ、血液検査で異常が見つかるまでは、脂質異常症に気づかない人も少なくありません。
まれに、皮膚や腱に脂肪がたまって、黄色腫と呼ばれるこぶができることがあります。また、角膜の端に乳白色または灰色の輪ができることもあります。
黄色腫
黄色腫は、皮膚や腱に脂肪がたまってできる、黄色っぽいこぶです。脂質異常症の患者様の約10%にみられるといわれています。手の甲や足の甲、ひじや膝、腱鞘(けんしょう)などにできることが多いです。
乳白色または灰色の輪
乳白色または灰色の輪は、角膜の端にできる、円形の輪です。脂質異常症の患者様の約5%にみられるといわれています。
脂質異常症の診断・検査
脂質異常症の診断は、血液検査で行います。血液検査では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を測定します。
LDLコレステロール
LDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化の原因となる脂質です。LDLコレステロールの値が高いと、動脈硬化のリスクが高くなります。
HDLコレステロール
HDLコレステロールは、善玉コレステロールとも呼ばれ、LDLコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ働きがあります。HDLコレステロールの値が高いと、動脈硬化のリスクが低くなります。
中性脂肪
中性脂肪は、エネルギー源となる脂質です。中性脂肪の値が高いと、動脈硬化のリスクが高くなる可能性があります。
脂質異常症の診断基準
脂質異常症の診断基準は、以下のとおりです。
- LDLコレステロールが140mg/dL以上、かつHDLコレステロールが40mg/dL未満
- LDLコレステロールが160mg/dL以上
- 中性脂肪が150mg/dL以上
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、主に食事療法と運動療法です。
食事療法
食事療法では、以下のことに気をつけましょう。
- 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎを控える
- コレステロールの摂りすぎを控える
- 食物繊維を多く摂る
- 野菜や果物、きのこを積極的に摂る
運動療法
運動療法では、1日30分以上のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を週に3回以上行うようにしましょう。
生活習慣の改善をしても、基準値を下げることができない場合は、薬物療法が行われます。薬物療法には、以下のようなものがあります。
薬物療法
スタチン系薬剤
コレステロールを合成する酵素を抑える薬剤です。LDLコレステロールを下げる効果があります。
フィブラート系薬剤
中性脂肪を下げる効果があります。
エゼチミブ
コレステロールを吸収する際に働く酵素を阻害する薬剤です。LDLコレステロールを下げる効果があります。
エボロクマブ
LDLコレステロールを肝臓に取り込みを促進し、LDLコレステロールを下げる効果があります。
脂質異常症の予防
脂質異常症の予防には、以下のことに気をつけましょう。
バランスの良い食事を心がける
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎを控え、食物繊維を多く摂るようにしましょう。
具体的には、以下のことに気をつけましょう。
- 肉類やバター、マーガリンなどの動物性脂肪の摂りすぎを控える
- 揚げ物やスナック菓子などのトランス脂肪酸の多い食品の摂りすぎを控える
- 野菜や果物、きのこを積極的に摂る
- 海藻類や大豆製品などの食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る
- 適度な運動をする
1日30分以上のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を週に3回以上行うようにしましょう。
適度な体重を維持する
肥満は、脂質異常症のリスクを高めるため、適度な体重を維持するようにしましょう。
禁煙する
喫煙は、脂質異常症のリスクを高めるため、禁煙するようにしましょう。
これらの生活習慣を改善することで、脂質異常症の予防につながります。
また、家族に脂質異常症の人がいる場合、自分も脂質異常症のリスクが高いため、定期的に血液検査を受けるようにしましょう。
高尿酸血症とは
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が正常範囲を超えた(7.0mg/dL)状態を指します。
尿酸は、細胞の新陳代謝によってできる物質で、通常は尿として体外に排泄されますが、その排泄がうまくいかなかったり、体内で過剰に生成されたりすると、血中に蓄積します。
血中尿酸値が高まると、通常は見られない結晶が関節や組織にできることがあり、痛風などの原因になることがあります。また、高尿酸血症が慢性化すると、腎臓結石や尿路結石を引き起こすことがあります.
高尿酸血症の原因には、肥満や過度なアルコール摂取、高プリン食の摂取、また遺伝的要因も関係しています。症状は長期にわたり無症状のこともありますが、場合によっては関節の痛みを引き起こす痛風へと進行することもあります。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症の原因は、大きく分けて2つあります。
- 尿酸排泄低下型:腎臓での尿酸の排泄がうまくいかず、尿酸が体内に蓄積してしまうタイプです。日本人に多いタイプです。
- 尿酸産生過剰型:体内での尿酸の産生量が増え、尿中への排泄量が追いつかなくなるタイプです。
尿酸の排泄がうまくいかないタイプの高尿酸血症は、日本人に多いタイプです。その原因としては、以下のようなものが挙げられます
- 腎臓の機能が低下している
- 尿酸の排泄を促すホルモンの分泌が少ない
- 体内で尿酸をつくりすぎるタイプ
体内で尿酸をつくりすぎるタイプの高尿酸血症は、以下のような原因で起こることがあります。
- プリン体の摂取量が多い
- 肥満
- 糖尿病
- 腎臓病
- 遺伝的要因
- 高尿酸血症の症状
高尿酸血症の症状
高尿酸血症自体には自覚症状がほとんどありません。しかし、尿酸値が急激に上昇すると、痛風発作を引き起こすことがあります。
痛風発作
痛風発作は、主に足の親指の付け根に激しい痛み、発赤、腫れが起こる症状です。発作は数時間から数日間続き、痛みが非常に強いため、日常生活に支障をきたすことがあります。
痛風発作が起こりやすいのは、足の親指の付け根ですが、膝や肘、肩、手など、全身の関節に痛風発作が起こることもあります。
痛風発作の原因
痛風発作は、血液中の尿酸値が急激に上昇することで、血液中に溶け切れなかった尿酸が関節に沈着し、炎症が起こることで起こります。
高尿酸血症のその他の症状
高尿酸血症が慢性化すると、以下の症状が現れることがあります。
- 腎臓結石や尿路結石
- 痛風性腎症(腎臓の機能が低下する病気)
- 痛風性心疾患(心臓の病気)
- 痛風性脳血管障害(脳の病気)
高尿酸血症の診断
高尿酸血症の診断は、血液検査で尿酸値を測定することで行われます。尿酸値が7.0mg/dLを超える場合、高尿酸血症と診断されます。
尿酸値の測定方法
尿酸値は、血液検査で測定することができます。血液検査は、採血によって行われます。
高尿酸血症の検査
血液検査により高尿酸血症と診断された場合、原因を特定するために、以下の検査を行うことがあります。
- 腎機能検査:尿酸を排泄する腎臓の機能を調べます。
- 血糖検査:糖尿病の有無を調べます。
- 血圧検査:高血圧の有無を調べます。
- 尿検査:尿中尿酸値や尿中プリン体値を測定します。
- 画像検査(レントゲン検査、CT検査、MRI検査):痛風や腎臓結石などの合併症の有無を調べます。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症の治療は、尿酸値を正常値に保つことを目的としています。
治療法としては、以下の2つがあります。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、高尿酸血症の治療の基本となります。
具体的には、以下のことに気をつけましょう。
- 適度な体重を維持する
- 飲酒を控える
- プリン体の多い食品を控える
- 水分を十分に摂取する
- 薬物療法
生活習慣の改善だけでは尿酸値が下がらない場合は、薬物療法を行います。
薬物療法
薬物療法には、以下の2つの種類があります。
尿酸生成抑制薬
尿酸生成抑制薬は、尿酸の産生を抑える薬です。
尿酸生成抑制薬には、以下のようなものがあります。
- アロプリノール
- フェブキソスタット
尿酸排泄促進薬
尿酸排泄促進薬は、尿酸の排泄を促す薬です。
尿酸排泄促進薬には、以下のようなものがあります。
- プロベネシド
- ベンズブロマロン
高尿酸血症の予防
高尿酸血症の予防には以下のことに気を付けましょう。
適度な体重を維持する
肥満は、尿酸値を上げる原因となります。適度な体重を維持することで、尿酸値を下げることができます。
BMIが25以上になると肥満と診断されます。BMIが25以上の場合は、適度な運動や食事制限などで体重を減らすようにしましょう。
飲酒を控える
アルコールは、尿酸の産生を促進する働きがあります。飲酒を控えることで、尿酸値を下げることができます。
1日あたりの飲酒量は、男性で200g未満、女性で100g未満に抑えましょう。
バランスの良い食事を心がける
プリン体は、尿酸の生成材料となる物質です。プリン体の多い食品を控えることで、尿酸値を下げることができます。
プリン体の多い食品としては、以下のようなものが挙げられます。
- レバー、うなぎ、イワシ、鶏肉の皮
- マグロ、カツオ、サバ、イワシなどの魚介類
- きのこ類、豆類、野菜の根菜類
水分を十分に摂取する
水分を十分に摂取することで、尿酸の排泄を促すことができます。
1日に1.5~2L程度の水分を摂取するようにしましょう。
高尿酸血症は、痛風や腎臓結石などの病気の原因となる可能性があります。定期的に血液検査を行い、尿酸値をチェックしておきましょう。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症のいずれか2つ以上を併発した状態のことをいいます。
内臓脂肪型肥満とは、内臓に脂肪がたまった状態のことです。内臓脂肪は、血中の脂質や血糖の代謝に悪影響を及ぼすため、メタボリックシンドロームの重要な要因となります。
高血圧とは、血圧が140/90mmHg以上である状態のことです。高血圧は、動脈硬化や脳卒中などの原因となります。
高血糖とは、空腹時血糖が110mg/dL以上である状態のことです。高血糖は、糖尿病の原因となります。
脂質異常症とは、血液中の脂質(LDLコレステロール、中性脂肪)の値が高い状態のことです。脂質異常症は、動脈硬化や心筋梗塞などの原因となります。
メタボリックシンドロームの診断基準
以下の1.腹囲の測定基準に該当かつ、2.その他の臨床的指標のうち2つ以上が該当する場合に診断されます。
1.腹囲の測定値が、男性: 85cm以上、女性: 90cm以上 であること
2.その他の臨床的指標 (以下の3つのうち、2つ以上が該当する場合)
・脂質:トリグリセライド(TG) 150mg/dL以上、かつ/またはHDLコレステロール・40mg/dL未満。
・血圧:収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上
・血糖:空腹時血糖値:110mg/dL以上。