アニサキス食べてしまったかも…どうすればいい?
ご自宅での新鮮な刺身や寿司を楽しむ際、突如、腹部に激しい痛みを感じたら、それはアニサキス症の可能性があります。アニサキスとは、魚介類の内臓に生息する寄生虫で、調理時に完全に除去されないと、生食した人間の消化管に侵入し炎症を引き起こします。
もし「アニサキスを食べてしまったかも」と感じたら、以下のステップで対処しましょう。
症状の確認
アニサキス症の初期症状は、食後数時間以内に発症することが多く、激しい腹痛、吐き気、嘔吐が主です。これらの症状があれば、緊急に医師の診断を受けてください。
医療機関を受診
症状が軽度の場合でも速やかに内科クリニックや総合病院の消化器内科を訪れることが重要です。内視鏡を用いて寄生虫を確認し、取り除く処置が必要になることがあります。
アニサキスとは
アニサキスとは、海洋生物が宿主となる寄生虫の一種で、特に生の魚介類を食べた際に人間の消化管に感染することで知られています。アニサキス症という食中毒は、この寄生虫が原因で起こります。感染すると、激しい腹痛や吐き気などの急性症状を引き起こすことがあり、適切な治療が必要となります。
日本でのアニサキス症の報告例は年間数百件に上り、実際には報告されていないケースも多数存在すると推測されています。これは、国内で生魚を食べる文化が根強いためです。アニサキスが見つかる魚種には、サバやイワシなどがありますが、すべての魚介類に寄生するわけではありません。
治療を行わない場合、重篤な合併症を引き起こすリスクがありますが、自然に治癒するケースもあります。
アニサキス症の原因
アニサキス症は、アニサキス科に属する寄生虫が原因で発生する食中毒です。主に、感染した魚介類を生であるいは十分に加熱せずに摂取した際に、人間の消化管に寄生虫が侵入し症状を引き起こします。
寄生虫のライフサイクルは複雑で、海洋哺乳類が最終宿主となりますが、寄生虫は成長の過程で異なる生物に移り変わります。人間がこれら魚介類を食べることで、意図せず中間宿主となり、アニサキス症が発症するのです。
感染のリスクを高める魚介類としては、サバ、イワシ、アジなどが特に知られていますが、海水魚全般に潜むリスクがあるため、一概に安全とは言えません。寄生虫は、魚介類の筋肉部分にも存在するため、内臓だけを取り除くことでの完全な予防は不可能です。予防策としては、魚介類を十分に加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍することが推奨されます。
アニサキスが潜む可能性のある魚介類
アニサキスは、サバ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生する線虫の一種です。
アニサキス幼虫は、サバ、サンマ、アジなどの内臓に寄生していることが多いですが、筋肉にもまれに寄生しています。
アニサキスが潜む可能性のある魚介類は以下が挙げられます。
- サバ
- サンマ
- アジ
- イワシ
- カツオ
アニサキスが潜む可能性が低い魚介類
アニサキスが潜む可能性が まったくない 魚介類 は存在しないと思われますが、極めて低い可能性の魚介類は存在します。
アニサキスが潜む可能性が極めて低い 魚介類
- 二枚貝(アサリ、ハマグリ、シジミなど)
- タコ
- カニ
- ウニ
- イクラ
- ウナギ
これらの魚介類は、アニサキスが寄生する中間宿主ではないため、アニサキスが潜む可能性は低いと考えられています。しかし、稀に、中間宿主ではない魚介類にアニサキスが寄生しているケースが報告されています。
アニサキスが潜む可能性が 極めて低い 理由
二枚貝は、アニサキス幼虫が寄生する中間宿主ではありません。
タコ、エビ、カニは、プランクトンを食べるため、アニサキス幼虫を食べる可能性は低いです。
ウナギは、淡水魚であり、アニサキス幼虫が寄生する海水魚とは生息域が異なります。
アニサキス症の症状
アニサキス幼虫が胃や腸壁に刺入することによって、激しい痛みや悪心、嘔吐などの症状を引き起こします。
主な症状には以下のようなものがあります。
胃アニサキス症
食後数時間~十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐の症状がおこります。症状は数時間~数日で自然に治癒することが多く、稀に、胃出血や胃穿孔に至るケースも見られます。
腸アニサキス症
食後十数時間~数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状等の症状がおこります。稀ではありますが、腸閉塞や腸穿孔に至るケースも見られます。
症状が長引く場合は、手術が必要になることもあります。
その他の症状として、以下のようなものも見られます。
- 消化不良:食後の不快感や腹部の重さが感じられることがあります。
- アレルギー反応:寄生虫に対する免疫反応により、発疹やかゆみが生じることがあります。
アニサキス症の検査・診断
アニサキス症の検査プロセスには、症状の評価、患者様の食歴の確認、および特定の医学的検査が含まれます。
アニサキス症の典型的な症状は、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、時にはアレルギー反応を伴います。これらの症状が生魚や刺身の摂取後に発生した場合、アニサキス症が疑われます。
次に、診断を確定するために内視鏡検査が行われることが多いです。内視鏡検査では、消化管の内部を直接観察し、寄生虫の存在を確認します。寄生虫が視認されれば、その場で取り除くことが可能です。
アニサキス症の治療
アニサキス症は医学的介入を必要とする場合が多く、治療は感染した寄生虫の除去と症状の緩和に焦点を当てます。
寄生虫の除去
最も直接的な治療法は、内視鏡を用いて寄生虫を物理的に取り除くことです。これは、消化管に侵入したアニサキスを視認し、専用の器具で摘出する処置です。この方法は感染後早期に行われることが多く、病原体の除去により症状は急速に改善されます。
対症療法
除去が困難な場合や、症状が軽度の場合は、対症療法が行われます。これには、消炎鎮痛剤や抗アレルギー薬が用いられ、患者の不快感を和らげることを目的とします。また、好酸球性胃腸炎などの合併症がある場合には、ステロイド剤が処方されることもあります。
アニサキスの除去費用
アニサキスの除去は、主に内視鏡手術が行われます。この処置は、医療機関の設備や技術、地域によっても異なりますが、一般的には保険適用内で行われます。通常、保険3割自己負担の場合15,000円程度の費用がかかります。
アニサキス症を放置するとどうなる?自然に治る?
症状は一時的なものから重篤なものまでありますが、放置することのリスクについて正しく理解することが重要です。
放置した場合のリスク
アニサキス症を放置すると、感染した寄生虫が消化管に激しい炎症を引き起こし、その結果、急性腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が続くことがあります。さらに、消化管の壁に穿孔(せんこう)を起こすという重大な合併症を引き起こすことがあり、これは緊急手術を必要とする可能性があるため非常に危険です。
自然治癒の可能性
一方で、アニサキス寄生虫は人間の体内では生き続けることができず、数日から数週間で死滅することが多いです。死滅した寄生虫は体外に排出されるか、または体内に取り込まれて炎症が徐々に治まることもあります。しかし、自然治癒を期待することは、上述したリスクを伴うためお勧めできません。
医療機関の受診
アニサキス症の疑いがある場合、自己判断での放置を避け、速やかに医療機関を受診することが望ましいです。特に症状が重い場合、内視鏡による寄生虫の除去や、対症療法による治療が必要です。
アニサキス症を予防するためにできること
感染を防ぐために、日常生活での予防策を実践することが非常に重要です。
予防策の基本
- 加熱調理:魚介類を中心とした温度で十分に加熱することが、アニサキス症を予防する最も確実な方法です。少なくとも内部温度が75度以上で1分以上加熱することを心がけましょう。
- 冷凍処理: 生で食べる場合には、魚介類を-20℃以下で24時間以上冷凍することでアニサキスを死滅させることができます。
- 魚介類の選択: アニサキスが多く見られる魚種(サバ、イワシなど)を生で食べる際は特に注意が必要です。信頼できる供給源から購入することも大切です。
- 食品の取り扱い:生魚を扱う際は、他の食品との交差汚染を防ぐために別のカッティングボードや器具を使用しましょう。
- 情報の確認:市場に出回る魚介類についての衛生情報をチェックし、アニサキス症の発生が報告されている地域や時期は特に注意が必要です。