TOPへ

電解質異常を指摘された

水・電解質代謝異常という状態

私たちは、食事から栄養や水分を摂取し、不要なものや老廃物を便や尿として体外に排出することで、水分や電解質などの体組成成分のバランスを保っています。この体組成成分のバランスが崩れた状態が、水・電解質代謝異常となります。
水・電解質代謝異常の原因は様々なケースが考えられますが、その一つに腎臓の機能障害が挙げられます。腎臓は、尿を作って体組成成分のバランスの最終調整を行なっている器官で、この腎臓に機能障害を起こすと、水・電解質代謝異常を引き起こします。
腎臓は尿を生成する器官です。まず、尿のもととなる血液が、腎臓の糸球体という毛細血管の塊によってろ過されると、原尿が作られます。次に、この原尿が腎臓内の尿細管の中を通過する際に、体に必要な水分・物質の再吸収や不要な物質の原尿への分泌が行われ、尿が生成されます。
このように腎臓は、尿が尿管、膀胱、尿道を通って体外に排出される過程で、体内の水分量や、ナトリウム・カリウムといった電解質の量の最終調整を行っています。したがって、腎臓機能が異常を起こすと適切な尿を作り出せなくなり、過剰な水分が体内に蓄積されてむくみを起こしたり、または過剰に排出されて脱水になったり、血液中の電解質(ナトリウムやカリウムなど)濃度が適切に維持できなくなるなどの症状を引き起こします。


水・電解質代謝異常の原因

水・電解質代謝異常の原因には様々あり、腎臓の疾患によるものとそれ以外の異常によるものに分けられます。腎臓の疾患として考えられるのは、急性腎不全や慢性腎不全、尿細管などになります。腎臓の疾患以外の異常としては、栄養・水分摂取の過不足や下痢、発熱による大量の発汗、腎臓での尿の生成を司るホルモンの異常などが挙げられます。


水・電解質代謝異常の症状

脱水症状を起こすと、口渇や血圧低下、ふらつきなどの症状が起こります。また、水分過剰状態(体液過剰)では、身体のむくみや体重増加、息苦しさ、血圧上昇などの症状が起こります。血液の電解質代謝異常では、異常が起こる電解質の種類によって以下のような様々な症状がみられます。

高ナトリウム血症 意識障害、口渇
低ナトリウム血症 意識障害、手足のつりや脱力
高カリウム血症 意識障害、徐脈(脈が遅い)、手足のつりや脱力、血圧低下
低カリウム血症 手足のつりや脱力
高カルシウム血症 意識障害、口渇、食思不振、悪心、嘔吐
低カルシウム血症 手足のつりや脱力
高マグネシウム血症 血圧低下
低マグネシウム血症 手足のつりや脱力、食思不振、悪心、嘔吐

水・電解質代謝異常の治療法

腎臓の働きに異常がなく、腎臓での水・電解質代謝を調整するホルモン量や作用も正常の場合は、飲水量・食事量の過不足など腎機能以外の原因が考えられます。飲水量・食事量が十分でない場合は、点滴や内服薬などによる補給治療を行います。
また、腎臓の機能に異常が生じて腎臓の尿の生成機能が低下する急性腎不全や慢性腎不全、尿細管などの疾患が原因の場合や、尿量や成分を調整するホルモンの過不足・異常が原因の場合は、原因疾患に対する治療を行います。治療の際には、飲水量や食事内容の指導などの食事療法や、内服薬の投与などを併用することもあります。


この検査で疑われる病気

ナトリウム

  • 高値(高ナトリウム血症):尿崩症、脱水症
  • 低値(低ナトリウム血症):ネフローゼ症候群、腎不全、心不全など

カリウム

  • 高値:腎不全、糖尿病
  • 低値:おう吐・下痢など

クロール

  • 高値:脱水症、下痢
  • 低値:嘔吐など

カルシウム

  • 高値:脱水症、副甲状腺機能亢進症
  • 低値:ビタミンD欠乏症、腎不全など

マグネシウム

  • 高値:腎不全
  • 低値:糖尿病、過剰な飲酒など