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不整脈

不整脈とは

不整脈とは、心臓のリズムが通常と異なる状態を指します。心臓は体内の「タイムキーパー」として、一定のリズムで血液を全身に送り出していますが、このリズムが速すぎたり、遅すぎたり、不規則だったりすると不整脈と診断されます。不整脈は老若男女を問わず発症し、世界的に見ても多くの人々が経験しています。
不整脈は幾つかに分類され、それぞれのタイプに応じた治療法があります。「頻脈」とは心拍数が異常に高い状態を、「徐脈」とは心拍数が異常に低い状態を指します。また、「心房細動」は特に一般的な不整脈の一つで、心房が不規則に収縮することによって起こります。
不整脈はストレス、喫煙、アルコールのとり過ぎ、ある種の薬剤、さらには遺伝的要因によっても引き起こされることが明らかになっています。


不整脈の原因(病気)

不整脈は心臓の電気的な活動に異常が生じることで起こります。この電気的な活動は、心臓のペースメーカーである洞房結節から始まり、心臓全体に伝わります。不整脈を引き起こす病気や状態は多岐にわたりますが、主な原因として心筋梗塞心臓弁膜症心筋症、高血圧、甲状腺機能障害などがあります。また、心外膜炎や心臓の手術後にも不整脈は発生しやすくなります。
生活習慣もまた、不整脈の重要な原因となり得ます。例えば、過度のアルコール摂取、喫煙、カフェインの過剰摂取、ストレス、睡眠不足などが挙げられます。これらの因子は、正常な心臓でも不整脈を起こすことがありますが、既存の心疾患がある場合はそのリスクがさらに高まります。
統計的には、高齢化に伴い不整脈の患者数は増加傾向にあります。特に心房細動は、高齢者に最も一般的な不整脈であり、心臓病全体の合併症としても頻繁に見られます。世界保健機関(WHO)のデータによれば、不整脈による病院受診件数は年々増加しています。


不整脈の症状

不整脈を感じる際の主な症状としては、動悸、胸の不快感や痛み、めまい、息切れ、疲労感、時には失神することもあります。ただし、症状は人によって異なり、中には自覚症状がほとんどないケースもあります。
統計によると、不整脈は特に高齢者の間でその発生率は高いとされています。例えば、心房細動は高齢者に最も一般的な不整脈の一つであり、65歳以上の約2%の人が心房細動を経験しています。
症状が出るかどうかは、不整脈の種類や心臓の状態により異なります。
最新の研究では、不整脈の症状が心臓病や脳卒中などのリスクを高める可能性があることが示されています。症状がある場合には、特に心房細動による脳卒中のリスクが高まることが知られています。

危険な不整脈はどんな症状が出る?

危険な不整脈は命に関わる症状を引き起こすことがあり、早急な医療対応が必要な状況を生じさせることがあります。特に心室細動や心室頻拍といった心室から始まる不整脈は、心臓のポンプ機能を著しく低下させ、血液循環に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの不整脈は、心臓停止や突然死の原因となることもあるため、特に危険視されています。
危険な不整脈の症状には、極端な動悸、強い胸痛、呼吸困難、失神、意識の混濁などがあります。また、心室細動の場合は、突然の意識喪失を伴うことが多く、これは緊急事態を意味します。これらの症状は心臓による血液供給が不十分になることにより発生し、脳や他の重要な臓器への酸素供給が危険なレベルで低下することを示しています。
統計では、心室細動や心室頻拍による突然死は、心臓病のある人々の中で最も一般的な死因の一つであり、特に心筋梗塞の既往がある人に多く見られます。また、心房細動は脳卒中のリスクを高めることが知られており、これもまた危険な不整脈の一つとして分類されます。
最新の研究結果によると、特定のタイプの不整脈は突然死のリスクを高める可能性があり、特に心室細動は即座に治療を必要とする緊急事態であることが強調されています。

不整脈かも?と思ったとき、病院に受診する目安(症状)

不整脈を疑うべき症状が現れたとき、それが一時的なものか、それとも病院を受診するほどの重要なサインかを見極めることは非常に重要です。

一般的に、以下の症状があらわれた場合は、病院を受診することをおすすめします。

以下に挙げる症状が現れた場合、特に早急に医師の診察を受けるべきです。

  • 激しい動悸胸の痛み
  • 突然のめまいや失神
  • 呼吸困難
  • 長時間にわたる不規則な心拍
  • 耐え難い疲労感や運動耐性の低下

統計によると、不整脈を訴えて病院を訪れる患者様の中で、特に注意が必要なのは心房細動を経験している高齢者です。心房細動は、心臓病や高血圧、糖尿病などの基礎疾患がある場合に発症しやすく、脳卒中のリスクも高めます。

また、以下の方は、不整脈のリスクが高く、定期的に検査を受けることが推奨されています。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 心臓病の家族歴がある方
  • 喫煙者
  • アルコール依存症の方

不整脈の検査

不整脈が疑われる場合、正確な診断を下すためには、いくつかの検査が行われます。これらの検査は、どの種類の不整脈が存在するのか、またそれが心臓のどの部分から発生しているのかを特定するために必要です。

一般的な不整脈の検査には以下のものがあります

  • 心電図(ECG):この検査は不整脈の最も基本的な診断ツールで、心臓の電気活動を記録します。特に心房細動の診断において心電図は不可欠なツールとされています。
  • ホルターモニター:24時間から48時間にわたって心電図を記録し、日常生活中の不整脈を捉えます。
  • イベントモニター:数週間にわたって使用し、症状が現れたときにのみ記録を行う携帯型装置です。
  • 心臓超音波(エコー):心臓の構造と機能を視覚的に評価し、不整脈の原因となる可能性のある心臓病変を検出します。
  • 心臓ストレステスト:運動や薬剤を用いて心臓にストレスをかけ、不整脈を引き起こす可能性のある状況を模擬します。

不整脈の治療

不整脈の治療は多岐にわたり、その種類や原因、患者様の健康状態によって異なります。治療の主な目的は、不整脈をコントロールし、将来的な心臓の合併症を防ぐことです。

治療方法としては以下が挙げられます。

  • 薬物療法:不整脈の頻度や強度を減らすために、抗不整脈薬やβ遮断薬などが処方されることがあります。特に、心房細動の患者様には、脳卒中予防として抗凝固薬が処方されることが多いです。
  • カテーテルアブレーション:異常な電気信号を送っている心臓組織を焼灼(やけい)し、不整脈を止める治療法です。
  • ペースメーカーの植え込み:心臓のリズムを正常に保つために、ペースメーカーが使用されることもあります。
  • 除細動器(ICD)の植え込み:危険な心室性不整脈を検知し、速やかに電気ショックを与えて正常なリズムを回復させる装置です。

不整脈は自然に治ることがある?

不整脈は、時に自然に解消することがありますが、その可能性は不整脈の種類や原因、患者様の全体的な健康状態によって異なります。
例えば、一時的なストレスやカフェイン摂取によって引き起こされる軽度の不整脈は、これらの要因が取り除かれることで自然に治る場合があります。
一方で、心臓に構造的な問題がある場合や、継続的な医学的条件による不整脈は、自然には治らず、治療が必要です。例えば、心房細動のように繰り返し発生する不整脈は、通常、薬物療法やカテーテルアブレーションなどの治療が必要です。
統計によると、心房細動は高齢者に最も一般的な不整脈であり、時には自然経過の中で改善することがありますが、多くの場合は治療が必要です。また、心室性不整脈は、特に生命を脅かす可能性があるため、自然に治ることは少ないとされています。
最新の研究によると、生活習慣の改善により、不整脈の自然な解消が促されることがあります。例えば、適度な運動、ストレス管理、健康的な食事は、不整脈のリスクを低減し、心房細動の発生率を減少させることが報告されています。


不整脈と診断されて後も運動しても良い?

不整脈と診断された後の運動については、患者様の状態や不整脈の種類によって異なります。運動が心臓に及ぼす影響は個々によって大きく異なるため、医師と十分にご相談されることが重要です。
一般に、安定した状態の不整脈で、特に命に直接的なリスクを伴わないタイプであれば、適度な運動が推奨されることが多いです。運動は心臓の効率を向上させ、全体的な心血管の健康を促進することが知られています。例えば、適度な有酸素運動は、心房細動のリスクを減少させることが示されています。
しかし、心室性不整脈や重度の徐脈など、より深刻な症状を伴う不整脈がある場合、運動には特別な注意が必要です。これらの状態では、運動によって不整脈が悪化する可能性があります。
不整脈の患者様の個々の状況に合わせた運動プログラムが、安全かつ効果的な運動療法を提供する鍵となっています。運動前には必ず医師に相談し、運動の種類、強度、時間、頻度を医師と協議して決定することが推奨されます。